2010/09/02 北海道キャンプツーリング(6日目)
〜奥尻⇒函館直行編〜



明け方、肌寒くて目が覚める。
温度計を見ると、21℃。
夏だから寝袋なしだけど、マットだけだとちと寒い。
寝袋は暑すぎるので、インナーシーツを引っ張り出し、
それに潜り込んで二度寝。


2010/09/02 06:26 北追岬公園キャンプ場
06:20、起床。

外に出てみると、くもり。
ただし日が高くなれば消えそうな感じで、雨は大丈夫そう。

DJEBELさんと朝の挨拶を交わし、そのまま旅の話に。
20年ぶりの奥尻島だというDJEBELさんに
青苗の津波館へ行く予定ですと伝えると、
青苗は地震のあと町全体が高台側へ移ったと教えてくれました。

09:20、北追岬公園出発。
その青苗の町に向かいます。

2010/09/02 09:26 北追岬公園

2010/09/02 09:36 幌内ゲート
まず、道道39を北上して、昨日遭遇した通行止め区間の反対側・幌内ゲートへ。

おや、こっちは「この先道路決壊のため」になってるぞ?
看板を見てみると、理由こそ定かではないけどすでに先月半ばから通行止めだった様子。

て云うか、この地図を港に貼り出してくれれば助かったのに…。

2010/09/02 09:36 幌内ゲート

2010/09/02 09:40 奥尻町湯浜
迂回路もなさそうだし、どうも奥尻島一周はできないみたい。
幌内ゲートでUターン。
北追岬公園と青苗の中間地点に、1993年に起きた北海道南西沖地震の「津波痕跡地点」があります。
斜面の上にある木の看板に「23.3m」と書かれていますが、津波は驚くべきことにこの斜面をその高さまで駆け上がったらしい。

すごいな…。

2010/09/02 09:53 津波痕跡地点(無縁島)

このときは「高さ23mの津波」というものに対する感覚が
いま一つはっきりつかめなかったけれど、
この半年後に起きた東日本大震災ではこれよりも高い大津波が襲い、
ご存知の通り、広範囲に壊滅的な被害をもたらしました。
その映像を見て、津波というものの破壊力にも驚いたけど、
「奥尻島で見た、あの高さよりもまだ高いのか!」
と、このときのことを思い出し、二重に驚きました。


2010/09/02 10:09 奥尻島津波館
青苗に到着。
すっかり再興(DJEBELさんによれば「移転」)した町を通り、奥尻島津波館を来訪。
北海道南西沖地震で奥尻島に何が起きたのか、それが展示されています。
展示内容にも目を見張るものが多くありましたが、窓口で入館料を支払ったら、受付のおばさんがそのまま一つ一つの展示を案内してくれて、これにも少なからず驚きました。
この方もあの地震の体験者なんだなと思うと、説明の言葉の重みも違って聞こえます。

2010/09/02 10:47 奥尻島津波館

2010/09/02 10:51 徳洋記念緑地公園
少し重い気持ちになりながら津波館を後にし、ぶらぶらと隣接する公園へ。
ここには「時空翔」と名付けられた慰霊碑があります。
中心のくぼみは北海道南西沖地震の震源の方を向いていて、地震の日・7/12の夕日がそのくぼみと重なって見えるそうです。合掌。
カブにまたがり、青苗の町へ。

区画整理された住宅地の裏手には、高台へと登れる「避難路」が造られていました。

どうか、この避難路が役に立つ日の来ませんように。

2010/09/02 10:59 奥尻町青苗

2010/09/02 11:00 青苗漁港
漁港にも、「いざ」に備えて人工地盤が築かれていました。
海面からの高さ約8mのこの構造物は、日頃は港の屋根となり、大事にはこの上が避難スペースとなる仕組み。なるほど。
さて、今日はこのあと北海道本島に戻ります。
帰りの船の出航予定は正午過ぎ。
そろそろ港に向かわないと。

2010/09/02 11:08 奥尻町松江

2010/09/02 11:18 奥尻町奥尻
奥尻の町の入り口に、奥尻島の一台名所・なべつる岩があります。
この名物岩も、あのときの地震と津波で損傷し、修復されているらしい。
でもパッと見ではどこをどう直したのか分りません。上手に直したもんだ。
11時半までにフェリーターミナル着。
ターミナル内でお昼をと思ったけど、11:35までに待機所に行ってくださいとの案内が。食べてる時間ないか…。
セイコマで弁当を買って、言われた通り待機所へ。

2010/09/02 11:37 奥尻港FT

2010/09/02 11:54 アヴローラおくしり
乗船を完了してデッキに出てみると、昨日も見かけたご当地ゆるキャラ・うにまるの姿が。

おおっと。ご丁寧にも三つ指ついてのご挨拶とは、痛み入ります。
と思ったら、次の瞬間には観光案内所の人としゃべってやがる…。

その後も、
 ・中の人が無理やり団扇を体内に引っ張り込んで涼む
 ・立ってるのに疲れて膝立ち状態で座り、そのまま壁にもたれて居眠りする
 ・ターミナルに入ろうとして入り口にひっかかる
 ・さらには徒歩乗船のお客さんの邪魔になる
と、イメージUPで観光振興が使命のゆるキャラにあるまじき振る舞い三昧でした(笑)。

しまった、こうだと分っていればうにまるステッカーを買ったのに!(笑)
何はともあれテケトーにがんばれ、うにまる!

2010/09/02 11:57 アヴローラおくしり

2010/09/02 12:35 アヴローラおくしり
定刻に奥尻港を出航。
今日も天気が良くて暑いから、デッキの潮風が気持ちいい。

さようなら、奥尻島。
ただいま、北海道本島。

ということで瀬棚港に上陸。
再び国229で南を目指します。

2010/09/02 13:36 アヴローラおくしり

2010/09/02 14:10 国229 久遠郡せたな町
天気予報によると、接近中の台風の影響で今夜から荒れるらしい。
であれば、明るいうちに松前にある今夜の泊地にたどり着きたい。
そんな「焦り」が出てきたところで、路傍の看板がビシッと!

…えと、ゴッペカエスって何?
気持ちにも余裕が生まれたところで、奇岩の多い道を淡々と松前へ。
2010/09/02 14:31 国229 久遠郡せたな町

2010/09/02 14:37 国229 久遠郡せたな町
奇岩と言えば、この岩がこのルート随一ではないでしょうか。

その名も「親子熊岩」。確かに!
おおおなんと見事な断層…。
その鈍い黒さが迫力を引き立ててるなぁ。

2010/09/02 15:03 国229 爾志郡乙部町

2010/09/02 15:13 国229 爾志郡乙部町
打って変わって、こちらは明るい灰色の断層。やはり見事。

地球のとてつもない活動をまざまざ見せつけられた思いです。
途中、江差で一時停止。
幕末・函館戦争で旧幕府海軍の旗艦だった開陽丸が復元されているので、見に来ました。

…走ってるとそうでもないけど、立ち止まると暑いね。

2010/09/02 15:41 檜山郡江差町

2010/09/02 15:54 開陽丸青少年センター
これが当時最新鋭だったクルップ砲。
砲口まで旋条が切ってあってカッコいいな。
さて、江差を出ました。
今日のキャンプ予定地、松前・折戸浜までだいたい60km。

今のところ天気は悪くない。
けど、天気予報を調べるとどうにも良くない。
たどり着くのは恐らく日暮れ。それから幕営して、真夜中に海が荒れたらどうする?

とにかく、まずは折戸浜へ。

2010/09/02 16:12 国228 檜山郡江差町

2010/09/02 17:47 折戸浜海水浴場
黙々と走って、その折戸浜海水浴場キャンプ場に到着。

テントサイトは波打ち際からたった数mの、この砂利浜。
今夜北海道に台風が接近するらしいのに、いざってときに逃げ込む建屋も頼りない。
分ってはいるけど、天気予報を再確認…

…ここに幕営して、高波が来たら終りだ。
今夜ここでキャンプするのはやめとこう。

2010/09/02 17:53 折戸浜海水浴場

で、どこへ行くか…。

そもそも折戸浜でキャンプしようとした理由は、
翌日ゆっくり函館観光したいから。

よし。
今夜函館まで100km突っ走って、夜景を楽しんでやれ!


2010/09/02 18:07 国228 松前郡松前町
18時、松前城天守の見送りを受けて、松前を出立。
日が沈んですでに暗くなり始めました。
これから函館までナイトランです。

ナイトランは景色を楽しめないから避けたかったけど、台風に直撃されたらたまんないしね。
白神岬。北海道の最南端です。

なるべく早く函館にたどり着きたいけど、ここで立ち止まらない訳にはいきません。
海の向こうに、うっすらと本州が見えました。

2010/09/02 18:22 白神岬

2010/09/02 18:41 道の駅横綱の里ふくしま
道の駅併設の、横綱千代の山・千代の富士記念館。

なるべく早く函館にたどり着きたいんだけれど、ここで土俵入りしない訳にはいきません。
せっかくなので攻めの姿勢を貫く不知火型にしてみました。
その後は攻めの走り……でもないけど、淡々と、ただひたすらに函館を目指す。
2010/09/02 18:57 国228 松前郡福島町

2010/09/02 20:11 国279 函館市
20時、函館市街に入りました。
もともと明日泊まるつもりだったライダーハウスを探します。
地図が大雑把で良く分らん!
20:15、ライダーハウス・函館ミートハウスさんに到着。
幸い本格的な迷子になる前にたどり着きました。

隣の居酒屋さんに声をかけて、受付完了。一休みしたいところですが、荷物を適当に放り込んでさっそく外出。

2010/09/02 20:30 函館ミートハウス

2010/09/02 20:36 函館市末広町
じゃじゃん、金森赤レンガ倉庫。
ライハのすぐ近くで、すぐ行き当たりました。
お約束、函館山の夜景。きれいだなー。
ライハに三脚を忘れてきたので、カップルの中に紛れて、ひとり夜景撮影に四苦八苦。

そうそう、右手の水平線上には青森・大間の明かりも見えてました。

2010/09/02 20:54 函館山

2010/09/02 21:30 函館市元町
函館山を下って、八幡坂へ。
別名「チャーミーグリーンの坂」。

こりゃ冬凍ったら滑ったが最後、海まで止まんないんだろうな…。
旧北海道庁函館支庁庁舎、1909年築の木造2階建て。
特徴の柱廊玄関のせいか、木造建築に見えないな。

2010/09/02 21:33 元町公園

2010/09/02 21:34 元町公園
同じ公園にある旧開拓使函館支庁書籍庫はさらに古くて、1880年建造。
小ぶりながら、レンガ積みに瓦屋根を合わせる、重厚で極渋な佇まいが乙。
こちらは1910年の竣工と古さでは及ばないけど建物が大きくて迫力は随一の、旧函館区公会堂。
ちなみに国の重要文化財です。

2010/09/02 21:36 旧函館区公会堂

2010/09/02 21:43 函館市末広町
最後は1923年以来ずっと現役の、日本最古のコンクリート電柱。
いまの丸柱と違って、四角柱なんだねぇ。

ちなみに木をコンクリに置き換えた理由は、耐火性を狙ってのことだったそうな。
耐久性じゃないのが意外。
街中をカブで駆け周り、文字通り駆け足で夜景と近代建築を一通り巡って、土木建築的にはお腹いっぱい。

でも身体的にはお腹空いたので、函館名物・ラッキーピエロでチャイニーズチキンバーガー!
これは美味い!

2010/09/02 22:00 ラッキーピエロ

2010/09/02 22:10 ラッキーピエロ
そんな"ラッピー"ですが、土木建築的には…。
ド派手だから、遠目にも一目で分るんだけどね。
ちなみにお隣がこれまた函館名物のハセガワストアでした。
これまた分りやすい(笑)。

2010/09/02 22:11 ハセガワストア

2010/09/02 22:18 ハセガワストア
そのハセストで見かけた新聞の一面は、昨日の暑さについて。
9月としては88年ぶりの真夏日…。道理で暑かった訳だ。
ライハに戻ると、宿泊者たちが表のテーブルで宴会の真っ最中。
さっそくハセストで買ってきたビールとやきとり串を手に、飛び入り参加。

天気予報だと台風の雨が降り始めてもいい時間だけど、今のところまだ風があるだけ。
涼しくていいね。

2010/09/02 22:27 函館ミートハウス

全国からここにたどり着いた者同士、旅の話で盛り上がる。
楽しい時間にハセストで買ってきた2本はあっという間に飲み干して、
すっかりライハの自販機のお得意さんと化してしまいました。



奥尻島では地震と津波の恐ろしさを感覚で知り、
北海道本島に戻ってからは奇岩と幕末史に触れ、
松前半島を一気に駆け抜けて夜半に着いた函館には
きれいな夜景と素晴らしい建築があり、
ライハではユニークな仲間たちと旅談義。
少し慌ただしかったけど、有意義で楽しい一日でした。
台風で雨であろう明日は、この函館でのんびり停滞します。

トラックデータはこちら。
走行距離:296.3km
09:20北追岬公園出発→20:15函館ミートハウス着

北海道キャンプツーリング(7日目)


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